3つの独立した要素は、最終的にある1点で交錯するので、そうい意味では”ミステリー”的な要素も持った物語です。 「慟哭」「乱反射」で有名な貫井徳郎さんの作品です。, 本作について、まったくの前提知識を持たずにみたんですが、手に取ってみようとおもったきっかけはやはり映画版のポスター。 でも本作のインタビューは、もちろんヒントや伏線を語る人もいるんですが、事件解決や犯人特定のためには必要のないインタビューも含まれているんです。 この物語には惨殺された夫婦を巡る無数の男女が登場します。 ※以下、ネタバレ注意! 小説「愚行録」の冒頭はとある別の事件の話題から始まります。 『育児放棄による女児が亡くなった事件で、母親が逮捕』 そして物語は本筋へ。 6人の関係者が田向夫妻についてそれぞれの印象を話していきます。 田向夫人のことを「清楚」「無邪気」「品が良い」と評価する人物がいる一方で、4人目の語り部(大学の同級生)である宮村は夫人のことを「性格が悪い」と語りました。 宮村は語ります。 田 … (ちなみに冒頭の報道記事ですが、Kindle版では本文外と判定されてしまったのか、この次のページからスタートする仕様になっていました。たまたま読み始める前にページを戻ってしまったので発見できましたが、普通に読んでいたら見落とすところでした!Kindle版で読む人は見落とさないように要注意です!), メインとなる関係者へのインタビュー、幕間に挟まる謎の女の語り、冒頭にそっと添えられた報道記事。 「愚行録」観ました。貴井徳郎の同名小説を石川慶監督で映画化。エリートサラリーマン。美人妻。一人娘。理想的な田向一家を襲った、一家殺人事件。犯人は未だ捕まらず、事件は迷宮入り。 事件から一年。雑誌記者田中は再び事件を調べ始める。 ただ、物語の構成として見事に1点に収束するものの、謎解きミステリーのようにパズルが解けたようなスッキリさは本作にはまったくありません。 様々な人が放つ悪意にあてられて、「ああ、人間って醜い生き物だなぁ…。」と改めて思いたくもない印象をまじまじと突きつけられてしまいます。 2020年9月16日; サスペンス, ドラマ, ミステリー・スリラー, 邦画; 妻夫木聡, 満島ひかり, 貫井徳郎; 6335view それでは、本質を突き詰めたとき、この作品では誰が誰を殺したのだろう…? 被害者一家は一見すれば”理想の一家”といえる家族で、さわやかイケメンで高給取りの夫と、清楚でお嬢様な奥さんと、優秀な二人の子供たち。 『愚行録』。 あの顔は一体誰を演じたものなのか? 貫井 徳郎『愚行録』の感想・レビュー一覧です。電子書籍版の無料試し読みあり。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安心。 貫井徳郎「愚行録」を読んだ私見・感想(考察)。インタビュー形式で語られる、事件の真相に迫る“主観”と“客観”。地の文を用いない描写で読み手を惹き込む傑作。 なんですが、それぞれのインタビューを読むほどに、この家族、というかこの夫婦をどんどん嫌いになっていくような構成になっているんです。, インタビュイーのそれぞれは、決してこの夫婦のそれぞれのことを悪くは言わないんですけど、明らかに嫉妬心やコンプレックスを持っていて、全員が全員はっきりと嫌いではないものの、なにかしらの不満や不快感を持っていたことがわかります。 Amazonで貫井 徳郎の愚行録 (創元推理文庫)。アマゾンならポイント還元本が多数。貫井 徳郎作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。また愚行録 (創元推理文庫)もアマゾン配送商品なら通常配送 … ミステリーの大家、 貫井徳郎さん著作の「愚行録」。 発売当時は、 その独特な切り口や表現方法から話題を呼びました。 そして発売から10年以上が経った今年、 そんな「愚行録」の実写映画化が決定しました! 直木賞候補作にも選ばれた本作ですが、 一体どんなストーリーなのでしょうか。 それぞれ被害者に対する印象を語るんですが、これがもう、ものすごく嫌な感じ。 映画「愚行録」には現在と過去、2つの時間軸が存在しています。 現在の時間軸…主人公・田中の妹が育児放棄によって逮捕され、子供は生命の危機。妹の光子は精神鑑定にかけられている。 過去の時間軸…記者である田中が調査している約1年前に起きた「田向家惨殺事件」 物語が進むにつれて観客の興味は「誰が1年前の事件の犯人なのか?」という点に集中していきますが、そこにいきなり「光子」の存在が浮上してきて、2つの時 … 満島ひかりってコメディーや普通の恋愛モノにももちろん出てるんですけど、やはり出世作が園子音の『愛のむきだし』っていうこともあって、かなり”暗黒”な魅力があるじゃないですか。 @Yokohama, 次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。. 映画「愚行録」 ネタバレ感想 ある時、エリートサラリーマンの一家が殺害され、世間を震撼させる。 犯人が見つからないまま1年が過ぎ、改めて事件を追おうと決意した週刊誌記者の田中は取材を始める。 映画『愚行録』のポスターのあの満島ひかりの表情。 あの顔は一体誰を演じたものなのか? 最終的には「なるほど…そうでしたか…」という結末が、怒涛の連打でやってくるので、是非心のどこかで「誰が満 … ネグレクトに始まり、暴力→性的虐待を受けてきた女性が、唯一の味方であった兄へと語りかけるんですが、達観したかのように受けてきた虐待を楽しそうに話す女の狂気性にどっぷりとした疲労感が…。, さらに冒頭の報道記事ですが、これは児童虐待の末に子どもを衰弱死させてしまったある女性の逮捕記事。 愚行録 もう名前がそそられますサスペン臭がむんむんでワクワクしながら読み始めました。 ワクワク+ドキドキで読み終えました。 インタビュー形式の小説は少なくないですがまるで読者が語られている側のような錯覚に陥り、 あれ? ー仕掛けられた3度の衝撃。あなたの日常が壊される。ー 第135回直木賞の候補になった貫井徳郎の小説『愚行録』を映画化! 妻夫木聡主演、日本が誇る戦慄の群像ミステリー『愚行録』を紹介します! 映画『愚行録』の作品情報 【公開】 2017年(日本) 【監督】 石川慶 【キャスト】 妻夫木 … 愚行録(2017年2月18日公開)の映画情報、予告編を紹介。第135回直木賞候補にもなった貫井徳郎の同名小説を、妻夫木聡主演で映画化したミステリアスな人間ドラマ… 僕は満島ひかりという女優さんが大好きなんです。 Twitterタグ「 #名刺代わりの小説10選 」でよく投稿されている小説ベスト498, おもしろい小説が見つかるTwitterタグ「 #名刺代わりの小説10選 」を分析してみた!, Disney DELUXE(ディズニーデラックス)で観れない『アベンジャーズ』シリーズ作品が観れる動画サービス, 激動の時代のとある2日間を圧倒的な没入感で体感できるミステリー【書評】『ベルリンは晴れているか』深緑野分, [Sentryアップデート]バージョン1.2.1を公開しました!関連記事・Amazonリンクのためのプラグインサポート, [Sentryアップデート]バージョン1.2.1を公開しました!トップページの自動スクロールの追加など, (ちなみに冒頭の報道記事ですが、Kindle版では本文外と判定されてしまったのか、この次のページからスタートする仕様になっていました。たまたま読み始める前にページを戻ってしまったので発見できましたが、普通に読んでいたら見落とすところでした!Kindle版で読む人は見落とさないように要注意です!). ある未解決の一家惨殺事件を調べているルポライターが関係者数名への取材を重ねて、事件を、そして被害者家族を多角的に描いていく物語です。 ここまで精神に食い込んでくる作品ということは間違いなく傑作なんですが、気軽にオススメできるものでもなくて、あぁ、なかなか大変なものを読んでしまったなーという感じなのでした。, そして読み終えてのタイトルの意味。 最終的には「なるほど…そうでしたか…」という結末が、怒涛の連打でやってくるので、是非心のどこかで「誰が満島ひかりだ?」と思いながら読んでみる、という読み方もおすすめです!, Engineer, Designer, Web Director というわけで、物語は上質で、構成も見事。文章も読みやすい作品なんですが、とにかく後味が悪い! © 2021 ultimate-ez.com All rights reserved. 映画のネタバレあらすじ結末。映画の感想やレビュー、予告編動画もチェック!映画のストーリーをラストまで簡単に解説します。人気映画ランキングや上映中の最新映画も掲載しています。 愚行録 ↑ ↑ ↑ 本題に移ろう さて、と。 ここからが本番だ。 ここからどれだけ『愚行録』がダメな作品であるかを、極限までネタバレをせずに語っていきたいと思う。 (C)2019 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会 【公開】 2019年(日本映画) 【原作】 恩田陸 【脚本・監督】 石川慶 【キャスト】 松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士、臼田あさみ、ブルゾンちえみ、福島リラ、眞島秀和、片桐はいり、光石研、平田満、アンジェイ・ヒラ、斉藤由貴、鹿賀丈史 【作品概要】 2017年に“直木賞と本屋大賞の同時受賞”という史上初の快挙を成し遂げ、著者である恩田陸みずからが「映像化は不可能」 … 妻夫木聡、満島ひかり主演で実写映画化で話題になっている本作。 【愚行録(ネタバレ)】淳子を殺害最後のバスシーンの意味を徹底考察!淳子を殺害した理由は?娘の死を聞いた光子が笑った意味を読み解く. 2005年 東京創元社より 2009年4月 文庫化 ええ、はい。あの事件のことでしょ? 複数人のインタビューで事件を多面的に描くミステリーと言えば、宮部みゆきの『理由』とか恩田陸の『Q&A』とか、ちょっと毛色は違うけど湊かなえの『告白』とか、複数人ではないけど東野圭吾の『悪意』なんかがありますが、基本的に謎が解けてみれば事件解決のヒントなり伏線なりが、全員のインタビューに含まれているものです。 田中武志……妻夫木聡 田中光子……満島ひかり 田向浩樹……小出恵介 宮村淳子……臼田あさ美 稲村恵美……市川由衣 夏原(田向)友希恵……松本若菜 尾形孝之……中村倫也 山本礼子……松本まりか 渡辺正人……眞島秀和 橘美紗子……濱田マリ 杉田茂夫……平田満 武志と光子の母……山下容莉枝 村本……小松勇司 武志の上 … 「愚行録」は未読ですが、映画を見たら原作が読みたくなりました。 感想. 3歳なのに1歳児の平均体重しかなかった遺体など、想像しただけで凹むエピソードです。, こんな三つの話が物語の構成として見事に美しく収束したところで、まったくスッキリなんでできやしませんぜ!! 今回妻夫木聡と共演ということで、この二人の競演と言えば「悪人」っていう映画があって。 ―幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。 深夜、家に忍び込んだ何者かによって、一家四人が惨殺された。 隣人、友人らが語る数多のエピソードを通して浮かび上がる、「事件」と「被害者」。 最後に誰かを殺したのは敵意や悪意ではなくある種の”愚かさ”で。 では何のためにそのインタビューがあるかと言えば、それはもう被害者の人柄を描き出すため。 こういったネタバレ要素が大きい小説の解説を書くのは難しいだろうなと改めて思いながら、さすがプロの書評家は違うな、と思わされた文章だった。 さて、以降は、解説で触れられなかった部分について書くので、完全にネタバレしている。 ①『週刊テラス』の記者・田中は約1年前に起きた田向家一家殺人事件の、後追い取材を願い出る。田中の妹・光子が育児放棄で逮捕されたと知る上司は容認。田向夫妻の関係者に聞き込みをかけることで、夫・浩樹、妻・友季恵の過去が浮き彫りに。②犯人は幼少期に父から性的虐待を受けていた田中の妹・光子、その可能性を指摘した宮村淳子は田中に殺害された。光子の娘は死ぬが、その父親は田中(兄)だった。 さらに、本の一番最初にある事件の報道記事が掲載されており、このたった1ページの記事もまた本作における重要な要素です。 で、今回の満島ひかりはどうなのかな~って思うんですが、ポスターを見る限りはどう考えてもコメディーや恋愛モノの満島ひかりではないじゃないですか! そういう人たちがネチッこく「私はいいと思うんだけど、、、」という前置きのもと、人をネガティブにネガティブに形容し続けるんです。 主演ではなかったけど、あのときの満島ひかりも、まぁスゴかったじゃないですか。 読んでいる方としては変化球の”悪意”をひたすら受け続ける感じで、なかなかゲンナリしてきます。, さらに、幕間の謎の女の独白、これは完全に直球で。 というのも、本作は各要素がそれぞれめちゃくちゃ後味が悪いんです。, メインとなるインタビューは、そもそも一家四人惨殺という強烈に”負”な事件の関係者へのインタビュー。 嫌ミスどんでん返しミステリー映画【愚行録】をネタバレ無し感想書いています!貫井徳郎原作の映画化作品 3度の衝撃がこの作品には訪れますが冷静に整理して考えると余計に恐ろしく感じました!嫌ミスなので観終わった後はスッキリしない作品なので観る人は選ぶ作品かも! 映画「星の子 」ネタバレあらすじとラストまでの結末・動画やみんなの感想を掲載。起承転結でわかりやすく徹底解説しています。星の子 のストーリーの結末・感想や感想を含んでいるので、観ていない方はご注意ください。この映画のカテゴリーは ヒューマンドラマ です。 これはもう、どう考えても”ひかり”要素ないですよ。満島やみの方ですよ! そんなことも突きつけてくるような残酷なタイトルなのでした。, ちなみに、この作品の楽しみ方として「満島ひかりは誰を演じているのか?」という観点で読んでいくのもなかなか楽しいものでした。 世の中に殺されても仕方ない人間なんていないし、人を殺すのが絶対に悪なんてこともなく。 本作は直木賞(第135回)の候補となった傑作ミステリ。2017年に映画化(主演・妻夫木聡)もされています。, 重厚な描写で何らかのメッセージを届けるのが同作家の特長ですが、本作においてもそれは同様。ただ、本作には“地の文がない”という点で、同作家の作品の中では特異に映ります。, 冒頭の新聞記事、6人からなるインタビュー形式(インタビュイー)の語り、そしてある人物の独白(計6回)で構成された力作。, もし原作を読まずに映画だけ見たという場合でも、本作(原作)は映画とは違う世界観を得られ、一読の価値がある作品として推奨できます。, 前述のとおり、本作はインタビュー形式の語りによって進行していきます。6人の証言によっておぼろげながら全体像がみえてきますが、いずれも主観的な証言のためすべてを鵜吞みにすることができず(信頼できない語り手)、客観的に判断する必要があります。, また、「お兄ちゃん」という挿入で語られる“独白”が、どこで本編と交わってくるのかという疑念も頭をもたげます。, 一家惨殺事件の被害者・田向(夏原)友希恵の過去をたどる証言も、1人の証言では偏りがありますが、複数の証言によって徐々にその人物像がみえてきます。, いずれの証言にもイヤミス感のあるエピソードが盛り込まれ、各人の遍歴が明らかになっていきます。中でもインパクトがあるのが語り手・宮村淳子による「田中さん」に関するエピソード。, この「田中さん」は冒頭の新聞記事に記載されている(育児放棄の)容疑者・田中光子と同一人物です。, 宮村淳子によって語られる田中光子のエピソードは、ラストの独白で明かされる真相の伏線となっています。, 計6回インサートされている独白は、徐々に何かを形どっているのは察しがつきますが、これが誰の語りなのか、当て推量でしか見当がつきません。, 伏線となっているのはやはり前述の宮村淳子によって語られる「田中さん」のエピソードです。この「田中さん」が冒頭の新聞記事の田中光子と同一人物であると推定できれば、謎をひも解いていくひとつの糸口となります。, ただ、構成上、ラスト(6つめ)の独白によってすべてが明かされるというプロットで成り立っているため、5つの独白と6人の語りだけでは全貌を推察するのは困難です。本作についてはむしろ、邪推するよりも書き手の意向に委ねたほうが本作の醍醐味を味わえます。, ラストの独白によって明かされる真実は、「田向友希恵殺害の犯人」、「宮村淳子殺害の犯人」、「光子の娘の父親」の3つ。, また、光子のネガティブな思考には悲哀を感じざるを得ず、ここに書き手の巧みな描写が奏功していることは言うまでもありません。. 貫井 徳郎『愚行録』の感想・レビュー一覧です。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安心。格差社会の醜さを描いた、ゆるぎない傑作! ええ、はい。あの事件のことでしょ?――幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。 映画『愚行録』(ネタバレあり) 初めまして、当ブログの管理人の鴈丸(がんまる)です。 このブログでは、新作映画とその原作となった小説、漫画、オリジナル版の映画を見たうえで、互いを見比べながら映画のレビューをします。 また、各インタビューの合間には正体が明かされないある女性から兄への語りかけが掲載されます。 では、本当に”愚か”だったのは誰なのか? インタビュイーとして直接感情を吐露する人間、惨殺された妻、虐待されて育った謎の女、子どもを衰弱死させた女。 というわけで、この映画が見たい!という感情よりも先に、満島やみのこの顔を引き出すストーリーってどんなものなんだろう?っていう感情が来てしまって、原作小説に手を出してしまいました。, 物語の構成としては、主人公であるルポライターの取材インタビューという形になっていて、いわゆる”地の文”はありません。 物語の中枢にかかわる女性以外にも、エピソードの中で語られる人物が惨殺事件のキーマンでもあったりして…。, 映画『愚行録』のポスターのあの満島ひかりの表情。 映画「愚行録」と小説「愚行録」 ほぼ同じストーリーなのに媒体によって印象がかなり変わる、というのも面白い話ですよね。